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オグルヴィ・ワン・ジャパン阿部 晶人氏

♯08クリエイターインタビュー 阿部 晶人 (1/4)

オグルヴィ・ワン・ジャパン 株式会社
シニアクリエイティブディレクター
阿部 晶人氏
(インタビュー・平田 順子)
(2009年4月15日)

電通第1クリエーティブディレクション局、インタラクティブ・コミュニケーション局を経て、2006年夏より、「広告の父」と呼ばれるデビッド・オグルヴィ氏によって創立されたオグルヴィ・グループのオグルヴィ・ワン・ジャパンで活躍する阿部 晶人氏。これまで大手クライアントを中心に、多種多様なインターネット広告を手がけ、その多くが確かな効果を上げているそうです。目的を達成するために最適な手段を講じているせいか、似通ったものがありません。なぜ、こうもさまざまなタイプの表現やコミュニケーションを使い分けることができるのでしょうか。その秘訣を伺いました。

阿部 晶人氏 

剣道から学んだ広告の「間合い」

平田:阿部さんは学生時代に剣道のWebサイトを作って以来、いまでも剣道関連の仕事をいくつも手がけられているそうですが、剣道に対する思い入れが強いからでしょうか。

阿部:そうですね。小学校1年生から続けているので、剣道を通して物事を考える習慣が身についていて、剣道の考え方を仕事に取り入れると、ことがうまく運ぶのです。武道の在り様や考え方は長い歴史を経て真理の域に達しているところがあるので、そこから学べることは多いと思います。

平田:インターネット広告の歴史は10年ちょっとですものね。どのような剣道の真理が、広告の仕事をするうえで役立っていますか。

阿部:「広告とは、いろいろな要素を足して10にすることである」という法則があると思っています。もし広告・コミュニケーションをする製品自体に力があって、そのパワーがコミュニケーションのうち「8」を占める要素であるならば、広告自体のパワーは「2」でよいわけですよ。製品自体にあまりパワーがなかったり、すでにみんなが知っていて目新しくなかったりする場合には、広告のパワーを使って合計が10になるようにすればよいのです。合計は10より少なくても、多くてもいけません。そのさじ加減が大切です。

新しい製品が出るとつい気合いを入れすぎてしまい、テクノロジーをこれでもかと使いまくったWebサイトを作ったとします。そうするとかえって製品の印象が薄くなってしまいます。私はこのようなサイトをよく見かけますね。製品のパワーが8なのに広告も8ぐらいやってしまえば合計は16となり、10をはるかに超えた状態になります。これではバランスが悪いわけですよ。どのように「調和」をとるべきか、その判断は難しくて、私の場合は自分一人だけでなく、営業の方などから話を聞きながら設計しています。

この感覚は剣道で間合いをジリジリ詰めていって、よいポイントで打ち込むところと似ていると思います。実際、源義経に剣術を教えたと言われている鬼一法眼という人の武道訓でも、「五五ノ十(相手が5であれば5で対峙し)、二八ノ十(2であれば8で)、一九ノ十(1であれば9で)」ということが言い伝えられています。

他にも「柳生新陰流」など剣道関係の本をよく読むのですが、そこから発見したのは、どの流派の人でも最終的には、敵に勝つか負けるかではなくて、敵も味方もなくなる真理に行き着くところですね。広告においても「クライアントさんを取り込もう」などと驕るのではなく、「どうやればクライアントさんとうまく調和できるか」と考えるようにしています。

阿部 晶人氏 

平田:そういった真理は、広告のなかでも特にインターネット広告において通じる部分が多いのでしょうか。

阿部:どの広告においても言えることだと思います。ただ、テレビCMならば一方通行的に企業側がメッセージを伝えるコミュニケーションでも問題ありませんが、インターネット広告だとユーザーからのアクションが必要な分、クライアントと制作者だけでなく、ユーザーも含めた3者がより調和することが大事になりますよね。

これまでのインターネット広告が、クライアントから消費者に一方的に歩み寄るコミュニケーションだったとすると、これからは双方が歩み寄って途中で接触するような関係になっていくのではないかと考えています。その接触ポイントをうまく見つけ出すことが、インタラクティブなインターネット広告のコツではないでしょうか。

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