ネット広告ガイド
広告効果を最大化するクロスメディアとは−日本コカ・コーラ (4/5)
日本コカ・コーラ株式会社
マーケティングオペレーション
インターラクティブ・マーケティング
統括部長 江端 浩人氏
(インタビュー・岩城 陸奥氏)
(2008年2月13日)
■インターネット動画はテレビCMより消費者の心に深く残る
岩城:先ほどおっしゃった受け皿としてのインターネットコンテンツは、やはり自社サイト内に設置されることが多いのですか?
江端:私たちは、自社サイトに誘導することを、必ずしも重視しているわけではありません。場合によっては自社サイトの外に出て行ってもいいと考えています。
たとえば、2007年1~2月にYahoo!動画でハピネスファクトリーのテレビCMを動画配信させていただきました。じつは自社サイトにも動画は置いたのですが、自社サイトの動画は、画面サイズが小さかったのです。本来なら全画面のものを音付きで見てもらいたいのですが、そうするためにはものすごいインフラが必要となります。そうなると、自社サイトに誘導するよりも、環境の整ったYahoo!動画のような外部サイトで見ていただいたほうが多くのお客様に楽しんでいただけると考えました。
岩城:動画配信に際して画面サイズは重要な要素ですが、画面サイズを大きくすることで与えるインパクトやリーチに違いがあるとお考えですか。
江端:はい、違うと思いますね。しかも、お客様は能動的に見に来てくださっているのが大きいです。テレビで流しているCMの印象と、能動的に見に来ていただいているものを、本当に同じ尺度で測ってよいものかと考えてしまいます。インターネットを使って自ら探しに来られた方には、メッセージがものすごく深く届いているはずなんですよね。
岩城:そうですね。同じリーチとして単純にまとめられがちですが、本当に同じものなのか、というのはありますね。見ている人に与える印象は違うでしょう。
江端:テレビはリーチがあっても、インターネットと比べて深さが全然違うと思うんですよね。インターネットでのCM視聴は、自分で再生ボタンを押して見ていただく能動的なものですから。弊社がインターネットを用いた展開をとるようになったのはここ最近のことです。最初にお話ししたように、社内でインターネットのコミットがここのところ深まってきましたので、こうして蓄積されてきたノウハウを共有して提案を進めているところです。
岩城:提案は広告会社からされるケースが多いのでしょうか? それとも、まったくのゼロから御社内で検討し、計画されているのですか。
江端:インターネット広告、SEOやメールマガジン発行なども含めて、プロモーションの総合提案をしていただける広告会社はまだまだ少ないのが現状です。広告会社から提案された内容を参考に調整しながら、社内で設計することが多いですね。
■広告効果を最大化する、バーチャルと現実世界の融合
岩城:クロスメディアの活用事例で、いままでに一番印象に残っている施策はどのようなものでしょうか。
江端:クロスメディアとして本格的に行なったのはまだ1回ですが、2007年5月に展開した「コカ・コーラ×モバゲータウン キャンペーンサイト」という施策を行ないました。モバゲータウンとの共同サイトを期間限定で開設して、テレビや雑誌の広告、ラジオ、自動販売機など各メディアに掲載した広告からユーザーを誘導するものでした。想定以上に多くの方に登録していただきました。
岩城:このようなクロスメディアの場合、ユーザーはどのような経路を辿って来るものなのでしょうか。外出先やテレビCMで知ったあと、ユーザーが能動的にアクションを起こすことで、初めて受け皿であるインターネット上のコンテンツへ到達しますが。
江端:調べてみると、やはりインターネット広告経由でサイトへ来られた方が多かったです。しかし、「インターネット広告だけを見てアクセスしてきたのか」というと、そうではないと思うのです。いろんな所で少しずつ広告に接しながら、結果的にはインターネットで広告を見たことがきっかけとなってアクセスした、という可能性のほうが高いと思いますね。
じつは、キャンペーンの半ばで「コカ・コーラ ゼロ」という新製品をローンチしたのですが、この製品の登場をモバゲータウンのコンテンツ上で、それとなく匂わせておいたんです。それを見た方が街を歩いていると、「あ、モバゲータウンのキャンペーンサイトに出ていた製品が本当にある」と思えるような仕掛けをしておいたのです。バーチャルな世界で起きたことが、現実でも起こり始めているという雰囲気を作り出した。これによる効果が大きかったと見ています。
2007年6月4日、コカ・コーラ ゼロ発売日のモバゲータウントップページ
モバゲータウンとのキャンペーン自体は、ゲームやアバターなどで楽しむようなクローズドなコンテンツ展開でした。しかし、その閉じられた世界でユーザーが知ったことが現実世界と結び付いたときに、ユーザーのなかでは大きな意味を持つことになる。新製品をコンテンツ上で先行して紹介することで、現実世界で見かけたときに強く思い出してもらえたのだと思います。
インターネット広告としては、スポーツナビの「世界陸上」や「北京五輪への道」というコーナーで、そこの速報をすべてアクエリアスがスポンサードしています。弊社はIAAF世界陸上2007大阪にも協賛していました。そうやって現実とインターネットをリンクさせていくと、広告効果が大きくなると考えています。
岩城:たしかに、ネットから現実世界へムーブメントや情報が拡大すると強く印象に残りますね。通常、現実世界でのプロモーションや広告をどうインターネットに落とし込むのかを考えるところですが、逆にインターネットを発信地として捉え直すというのは、とても面白い視点ではないでしょうか。複数の媒体と連携してプロモーションを展開することで、見た人の心に深く印象づけられるのですね。「あっちで言ってる、こっちでも紹介している」といった感じにユーザーからは見えたでしょうから、その効果は何倍にもなって返ってきたのだと思います。
江端:そうですね。こうした効果は測ることも数値化することもできませんが、全体を統一して展開したことで、大きな効果を得られたと推測しています。
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