ネット広告ガイド
じつに手強い「疑い深い消費者」の出現 (2/2)(2008年7月23日)
「インタラクティブの流儀」著・吉原有希(インプレスジャパン刊)
2冊目の「インタラクティブの流儀」では、インターネット広告界で活躍するトップクリエイターたちの証言を集めて、そのノウハウやWebコミュニケーションの真髄にドキュメンタリータッチで迫っています。インターネットの出現によって構造的に変わりつつあるメディアや広告コミュニケーションのあり方を示す一冊です。
本書では、7つのインターネット広告クリエイティブを通して、Webサイトやインタラクティブコンテンツの全貌を理解することを目指しています。制作関係者への取材や制作者の個人史、企業史といった制作背景から丹念に追い、クリエイティブの背景やコンセプトを明らかにします。読者は本書を読むことで、優れたコンテンツが生まれた制作過程を追体験できるのです。
冒頭では、前述した「明日の広告」の著者でもある佐藤氏が携わっている「スラムダンク1億冊感謝広告」(2004年)が取り上げられています。これは、スラムダンクの作者である井上雄彦氏が、ポケットマネーで全国紙5紙などの朝刊に一面広告を出稿したものです。
新聞広告の後、インターネット上にもWebサイトが設置され、神奈川県の廃校を使ったイベントも開かれています。こうしたアイデアがどこから生まれ、制作メンバーはどのように出会い、制作自体へ影響を与えた出来事が何であったか明らかにしていきます。その結果、「ユーザーとコミュニケーションすることだけを目的としたスペシャルサイト。ユーザーがそこに参加することで、双方向性のコミュニケーションが立ち現れるネット上の場。それがスラムダンクプロジェクト」という核が生まれ、コンセプトが実現されていく過程を浮き彫りにしています。
このように、読者はプロジェクトを追体験していくことで、最先端の技術やマシーンを使って作り出す魅力的なビジュアル以前に、「広告の骨組み」という段階がいかに重要かに気づくことでしょう。これからコミュニケーション戦略を立案するうえで、示唆に富む作品となっています。
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